間接金融にはどんな種類がある?直接金融と比べたメリット・デメリットについても解説
資金を出してくれる人・組織と資金を必要とする人・組織の間に金融機関が介在している仕組みを「間接金融」といいます。
例えば銀行融資やノンバンクによる融資などが間接金融に該当し、金融機関が介在しない「直接調達」に比べて、手続きが簡単・中小企業でも利用がしやすい、といったメリットがあります。
他方でデメリットも存在していますし、その特徴についてはよく理解したうえで資金調達を行う必要があります。
当記事ではこの間接金融に着目し、その種類、特徴を紹介します。
間接金融の種類
間接金融には、「銀行融資」や「ノンバンクによる融資」、「協同組織金融機関による融資」、「日本政策金融公庫による融資」などがあります。
銀行融資
銀行は、預金者から資金を集めて企業に貸し出すため、典型的な間接金融といえるでしょう。
銀行が行う融資の形態としては①証書貸付、②当座貸越、③手形貸付などがありますが、いずれも間接金融に該当します。
- 証書貸付(銀行と借入人が金銭消費貸借契約を締結し、その契約に基づいて融資を行う形態。)
- 当座貸越(あらかじめ一定の限度額を定めておき、その範囲内で必要な時に必要な金額を借り入れることができる融資形態。)
- 手形貸付(借入人が取引先から受け取った手形を担保に融資を受ける形態。)
ノンバンクによる融資
消費者金融や信販会社などのノンバンクは、銀行などから資金を調達して企業や個人に貸し出しをしています。
そのためノンバンクによる融資も間接金融に分類されます。
- 消費者金融による融資
- カードローン(限度額の範囲内で繰り返し借入できる融資) など
- 信販会社による融資
- ショッピングクレジット(商品購入時に信販会社が代金を立て替えて、分割で返済する方式) など
協同組織金融機関による融資
信用金庫や信用組合、労働金庫などの協同組織金融機関は、会員・組合員から資金を集め、これを原資に融資を行っています。
これらも仲介する機関として機能していますので、間接金融に該当します。
- 信用金庫による融資
- 信用金庫は、地域の中小企業や個人を対象とした協同組織金融機関。
- 中小企業向けに、企業のニーズに合わせた長期・短期の融資を行っていたり、自治体と連携して制度融資を行っていたりする。
- 信用組合による融資
- 信用組合は、特定の業種・地域を対象とした協同組織金融機関。
- 小規模な事業者・個人に対する融資を主に行っている。
- 労働金庫による融資
- 労働金庫は、労働組合等の組合員やその家族を対象とした協同組織金融機関。
- 労働者の生活向上を目的としており個人向けの融資が豊富であるが、労働組合など団体向けの融資も行っている。
日本政策金融公庫による融資
日本政策金融公庫は政府系金融機関の1つで、政府の資金を原資として、企業に融資を行っています。
これも金融機関が介在していますので、間接金融に分類されます。
日本政策金融公庫には多種多様な融資制度が用意されており、一般的な銀行融資だとまだ審査に通りにくい創業期の企業などでも、同公庫を利用することで資金調達を成功させやすいです。
ほかにも、業種別に特化した融資や、災害時に利用できる融資、再建を図るときに利用できる融資などがあり、さまざまな企業が利用しやすくなっています。
間接金融のメリット・デメリット
銀行融資に代表される間接金融には、以下に掲げるメリットとデメリットがあります。
株式発行による資金調達など、これら直接金融と比較した特徴を整理していきます。
間接金融のメリット | |
---|---|
手続きが比較的簡単 | 投資家を募ったり株式発行の手続きを行ったりする場合に比べると、手続きが簡単で短期間で資金調達をしやすい。 審査期間はあるが、銀行などの金融機関に相談して審査に通りさえすれば資金調達ができる。特に少額の資金調達の場合に便利。 |
予測可能性が高い | 審査基準や必要書類が比較的明確で、その一定要件を満たせば融資を受けられる可能性が高くなるため、直接金融に比べて資金調達に対する予測可能性が高い。 |
経営権への影響が小さい | 直接金融のうち特に株式発行に比べて、経営権を握られるリスクが小さい。資金調達をしても経営に対する自由度を維持できる。 |
間接金融のデメリット | |
---|---|
元本と利息の返済が必要 | 借入をした金銭について元本と利息の返済が必要で、繰り返す発生する返済がキャッシュフローを圧迫する。直接金融、特に株式発行と比べると大きな負担となる。 |
担保や保証人を求められることがある | 借手のみの信用力では不足する場合、土地や不動産などの担保を提供することや連帯保証人を付けることが求められる。 そのため万が一返済ができなかったときのリスクが大きい。 |
資金使途を制限されることがある | 間接金融では資金使途が制限されることもある。好きなように資金を使うことができないため、計画を策定し、計画通りに運用していくことが重要となる。 |
間接金融と直接金融、いずれか一方が優れた資金調達方法ということではなく、状況により適した手法が異なります。
また、同じ間接金融に分類される融資にもいくつか種類がありますので、それぞれの特徴を踏まえ、メリット・デメリットを理解のうえ、自社に合った資金調達を進めることが大事といえます。
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M&Aとは
「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。
あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。
そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。
M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。
一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。
MERIT&DEMERIT
M&Aのメリット・デメリット
売り手のメリット・デメリット
1. 従業員の確保
現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。
2. 企業体質の強化につながる
M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。
M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。
3. 売り手の経済的メリット
たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。
この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。
もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。

買い手側のメリット・デメリット
1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる
経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。
そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。
また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。

2. 時間を買うことができる
M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。
3. 失敗のリスクを軽減できる
一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。
そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。
OFFICE
会社情報
当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。
これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。
具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。
この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。
会社名 | 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社) |
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設立 | 平成28年10月5日 |
事業内容 | 企業買収および合併の仲介業務など |
住所 | 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階 |
代表取締役 | 近 暁 |