マーケットアプローチの代表的な手法

M＆Aをする際に企業にどのくらいの価値がつくかを明確にするためには企業価値査定が必要です。
企業価値査定とは、会社自体の価値やその会社の株式の価値を算出するための手法のことを指します。バリュエーションともいいます。

企業価値評価は、M&Aでの取引金額を決める上での重要な判断基準となります。
企業価値の算定方法を理解し、経営者様ご自身の目で「自社の企業価値」を知り、その上でM&Aによる事業承継を選択肢の一つとして検討することが必要です。

この企業価値査定には、大きく分けて①インカムアプローチ、②コストアプローチ、③マーケットアプローチの３つのタイプが存在します。

①インカムアプローチ
インカムアプローチとは、将来期待される経済的な収益やキャッシュフローを、その実現に見込まれるリスクなどを考慮した割引率で割引くことにより評価を行う方法です。
代表的なものに、「DCF法（割引キャッシュフロー法）」などがあります。

②コストアプローチ
コストアプローチとは、会社の保有している資産の価値に着目する評価方法です。
このタイプの代表的なものには「簿価純資産法」などがあります。

③マーケットアプローチ
マーケットアプローチとは、市場において成立する相場の価格をもとに企業価値を算定する手法です。
代表的なものとして、「市場株価法」があります。

この記事では、マーケットアプローチについてご説明します。

■マーケットアプローチとは？
マーケットアプローチとは、評価対象会社と類似した上場会社や類似した取引などを元に類似会社や類似取引と比較することによって評価する方法となります。

◎メリット
・マーケットの情報をベースに評価するため、客観性の高い評価となる

◎デメリット
・個別の事象を反映することができない
・新規事業など類似会社がないケースだと利用できない
・市場株価が異常値を指している会社がある場合には利用しにくい

これらがマーケットアプローチのメリット・デメリットです。

■マーケットアプローチの代表的な手法
マーケットアプローチの代表的手法として市場株価法があります。

◎市場株価法
市場株価法とは、上場企業を対象に評価対象会社の株価をベースに株式の価値を算定する方法のことです。
※株式市場の株価がなければ評価できないので、上場会社を対象として行います。

〇メリット
・評価対象会社の将来性、収益性などのさまざまな要素を加味して市場参加者によって形成された株価をベースに評価されるため、非常に客観性が高い

〇デメリット
・上場会社しか用いることができない

〇計算方法
市場株価法は、ある一定期間の平均株価を用いて株式の価値を算定する方法となります。
一般的に1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の平均株価を把握し、それをもとに株式の価値を計算します。

複数のアプローチから妥当な価格の幅を算定し、その範囲内で最終的な価格を決定するというのが一般的な方法ですのでほかの方法についても勉強することが必要です。

株式会社日本企業評価会計事務所では、札幌市、新潟市、福岡市、静岡市を中心に全国の皆様からM&Aをはじめとしたご相談を幅広く承っています。お悩みがございましたら、お気軽に当事務所までご連絡ください。