企業価値に関わる要素と評価を高める施策のポイントとは
企業価値とは企業の魅力や事業の価値を表すもので、投資やM&Aにおいて着目される重要な基準でもあります。さまざまな要素が絡み合うことから一義的に企業価値を測ることは難しいですが、いくつか評価を高めるために有効な施策を上げることができます。ここではそのポイントを6つ紹介します。
ポイント①売上高や利益率を高める
企業価値を評価するうえでわかりやすい指標が「売上高」や「利益率」です。これらを高めることで企業価値の向上を図ることができます。
そのための戦略としてはいくつか考えられ、1つに「市場シェアの拡大」が挙げられます。新規顧客の獲得、既存顧客のロイヤルティ(信頼や親しみのようなもの)を高めることが重要で、そのためには顧客ニーズに適した製品・サービスの提供が重要といえます。市場調査や顧客からのフィードバックを通じて、需要を的確に把握する必要があるでしょう。
また、商品・サービスを届ける販売チャネルの構築、効率化も売上高や利益率を高めるために大事です。昨今ではデジタル化はもはや当たり前で、Webサイトやアプリ、リアル店舗とも連動しながらアプローチをかけるオムニチャネル戦略を進めていくことも検討すると良いでしょう。
他に「競合他社や顧客のニーズを考慮して適切な価格設定を行う価格戦略」「生産プロセスや原材料の調達方法を見直すことによるコスト削減」などの施策も有効です。
ポイント②財務状況を改善する
財務状況も企業価値の評価に関わる要因の1つです。そこで企業の財務状況を見直し、改善に向けた取り組みを検討しましょう。
例えば次のような取り組みです。
収益の安定化 | 収益の変動の大きさは、投資家などの利害関係者にとって不安要素の1つであるため、これを安定させることが重要。安定化に向けては、収益の多様化、リピーターの獲得、契約の長期化などが有効。サブスクリプションでのサービス提供も効果的。 |
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負債の適切な管理 | 過剰な負債は企業の健全性を脅かす。適切な返済計画を策定することや、適切なリスク評価を行うことなどが重要。また、すでにある負債の削減も重要。 |
資産の有効活用 | 資産の有効活用は収益性や健全性につながる。資産を効率的に運用できているか、適切に評価できているかをチェックし、また、必要性の乏しい資産については売却なども検討する。 |
資金調達の多様化 | 資金調達先がどこか1つに依存しているのはリスクが大きい。そこで銀行での融資のみならず、株式や債券の発行、VC(ベンチャーキャピタル)からの調達など、多様な資金調達手段を持っておくことが大事。 |
これらの施策を総合的に実行していくことを考えてみましょう。
ポイント③投資効率を上げる
投資効率を上げることも企業価値評価のために重要です。
例えば「人材や設備に対する投資が効果を発揮しているのかどうか」を測定し、その効果を最大化していく取り組みを検討。その施策を実行していく、という流れで企業価値を高めていきます。
遊休資産を売却したり資産コストを削減したりすることも投資効率向上に有効な手段です。
そのためにも何が無駄なのか、何が余計なのかを見極める必要があります。
そこで投資先やプロジェクトの成果を常々観測し、定量的に評価し、その効果を正確に把握しておくことが大事といえます。
ポイント④ブランド力を強化する
「ブランド力を持つこと」「ブランド力を強化すること」も企業価値を上げるために重要です。
戦略としては、顧客とのエンゲージメントを高めることに重点を置くと良いでしょう。
顧客と積極的にコミュニケーションを取るなど、良好な関係性構築を目指します。
また、自社製品・サービス等について特徴・価値観を明確化し、それを発信していくことも必要です。
メッセージを強く発信していくだけでなく、当然、製品やサービスの品質もそれ相応に高くないといけません。
口コミや評判が広がること、またその内容が良いことがブランド力につながりますので、品質管理を徹底しましょう。
発信した情報を多くの方に届かせるには知名度を高める作業も欠かせません。広告やプロモーション活動を通じ、多くの方に知ってもらいましょう。
有名人・インフルエンサーとのコラボなども効果的ですが、近年は景品表示法の運用基準が見直されて一定のステマ行為が違法となったため注意が必要です。詳細は消費者庁のページでも説明されています。
ポイント⑤経営の透明性を担保する
「経営の透明性」も企業価値を評価するうえで大切な要素の1つです。
経営の透明性が高いと、投資家や顧客、従業員、その他ステークホルダーに対する信頼を築きやすく、企業価値評価も高まります。
そこで次の情報を公開する体制の整備も検討してみましょう。
- 「意思決定プロセス」
経営陣による意思決定のプロセスを公開することが、株主やステークホルダーに対する透明性担保となり、企業の経営に対する信頼向上につながる。企業の方針や戦略についての情報を積極的に開示してステークホルダーとのコミュニケーションを図ることも重要。 - 「CSR活動やESGへの取り組み」
CSR(企業の社会的責任)に関する活動やESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みを開示することで、企業がどのように社会的責任を果たしているのか、持続可能な経営を実践できているか、という点を評価しやすくなる。
ポイント⑥イノベーション力を持つ
競争が激しい分野、変化が激しい市場においては、企業が成長して競争力を高めるためのイノベーション力が必要です。
企業価値を評価するうえでも大切な要素で、これを保持する・高めるには「イノベーションを促進する組織文化」が必要です。
従業員が新しい積極的にアイデアを提案できる、失敗をおそれずに挑戦できる文化を醸成し、イノベーションを活性化させましょう。
また、新たな製品やサービスの提供をするためにも継続的な研究開発への投資が重要です。
将来における企業の競争力強化、市場での差別化に向けた取り組みが企業価値を高めることでしょう。
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M&Aとは
「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。
あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。
そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。
M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。
一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。
MERIT&DEMERIT
M&Aのメリット・デメリット
売り手のメリット・デメリット
1. 従業員の確保
現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。
2. 企業体質の強化につながる
M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。
M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。
3. 売り手の経済的メリット
たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。
この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。
もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。

買い手側のメリット・デメリット
1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる
経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。
そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。
また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。

2. 時間を買うことができる
M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。
3. 失敗のリスクを軽減できる
一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。
そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。
OFFICE
会社情報
当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。
これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。
具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。
この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。
会社名 | 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社) |
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設立 | 平成28年10月5日 |
事業内容 | 企業買収および合併の仲介業務など |
住所 | 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階 |
代表取締役 | 近 暁 |