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会社を解散した場合の従業員への対応|解雇が無効とならないためのポイントとは

会社を解散することになれば、必然的に従業員の解雇も行うこととなります。

ただ、解散をするからといって当然に解雇が正当なものとして扱われるわけではありません。

ではどのように対応すべきなのでしょうか。当記事では解散に伴う解雇で注意すべきこと、必要な対応や措置について言及していきます。

会社の解散と労働契約の関係

閉業し会社を解散するには、まず解散決議を行い、続いて清算の手続きに進む必要があります。

そして清算が結了することで法人格は消滅しますので、従業員との雇用関係についても終了。労働契約は当然に消滅します。

 

法的な関係についてはこの通りですが、実務上は解散に先立って解雇の手続きを行いますので、事業を止める段階で従業員と解雇に関するやり取りを始めることになるでしょう。

解雇が無効になるケースもある

解散が理由であっても、従業員を自由に解雇してもいいことにはなりません。

労働契約法でも、客観的・合理的な理由がなく社会通念上相当と認められないケースでは権利を濫用したとして解雇が無効になると定められています。

 

やむを得ず解散をする場合なら無効になるケースもそう多くはないと思われますが、必ずしも有効になるわけではないことは覚えておきましょう。

もし解雇が無効になってしまうと会社に対する賃金請求権等が認められ、清算手続きを結了させられず、解散がなかなかできなくなってしまいます。

 

また、労働組合を排除する目的でいったん既存の会社を解散し、新たに会社を設立するような場合だと、会社の解散そのものは有効にできても新会社が旧会社と同一とみなされ雇用関係が引き継がれるかもしれません。

特に旧会社の財産等をまるまる新会社に承継する場合だと実質において同じ会社とみなされる可能性が高まります。

解雇が無効とならないためのポイント

解散に伴う解雇が無効とならないようにするには、まず、有効に整理解雇を行うための要件を満たすことが大事です。

 

また、従業員との関係性を良好に保つため納得のいく対応・措置を取ることもとても大事といえます。

情報共有・説明義務を果たす

会社を解散するときの解雇は会社都合の解雇といえますので、「整理解雇」と表現することができます。

いわゆる「リストラ」と近い形での解雇ということになります。

 

そして整理解雇を有効に行ううえで重要なのは、次の4点を満たすことです。

 

  • 解雇の必要性がある
  • 解雇以外の方法の模索
  • 人選の合理性
  • 手続きが妥当である

 

会社が解散を行う場面であれば、①については基本的に満たすことができますし、②についても解雇以外の道がないため満たすことができます。

また、解散であれば一斉に解雇を行うため③も問題にはなりません。

 

そこでポイントになるのが④の「手続きの妥当性」です。

要は、解雇に関わる事柄についての情報共有・説明の義務をきちんと果たせているかどうか、という点に着目するのです。
同意を得ることまでは求められていませんが、労働組合があるのなら労働組合と協議を行い、これがないときは従業員それぞれに対して直接協議・説明を行います。なぜ解雇をすることになったのか、どのようないきさつで解散をすることになったのか、など丁寧に説明することを心がけましょう。

納得のいく対応・措置を取る

前項の通り、整理解雇を有効に行うための条件を揃えることはもちろん重要ですが、そのうえで各従業員との関係性にも配慮しましょう。

しっかりと対応し、必要な措置を講じておけば、揉めるリスクは低減することができます。

 

重要なものとして、例えば次のような対応・措置があります。

 

未払い賃金の解消

赤字が続いて解散をすることになった会社だと、従業員への給与の支払いも厳しくなっているかもしれない。未払い賃金が残っているとその支払いを受けるため従業員から法的措置を取られる可能性が出てくる。

そこで未払い賃金については極力なくしておくことが望ましい。

退職金を支払う

就業規則等に退職金を支払う旨の規定があるときは解散時にも原則として支払う必要がある。規定が置かれていないときでも退職手当を支払うことで円満な解雇を実現しやすくなる。

解雇後の就職支援

整理解雇を行う場合は、従業員の生活にも配慮して、再就職活動に向けた支援を行うべき。

取引先や同じ業界の事業者などに従業員の受け入れを相談するなど、積極的に就職先の斡旋を行うと良い。受け入れ先がもし決まれば従業員は安心して職を手に付けられるうえ、会社と揉めるリスクも低減させられる。受け入れ先が確保できなくても、就職支援に前向きに取り組む姿勢が伝われば法的措置を取られる危険性は下げられる。

 

具体的にどのような対応を取ればいいのか悩む・不安だ、という場合には専門家も頼ると良いでしょう。

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M&Aとは

「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。

あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。

そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。

M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。

一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。

MERIT&DEMERIT

M&Aのメリット・デメリット

売り手のメリット・デメリット

1. 従業員の確保

現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。

2. 企業体質の強化につながる

M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。

M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。

3. 売り手の経済的メリット

たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。

この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。

もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。

買い手側のメリット・デメリット

1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる

経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。

そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。

また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。

2. 時間を買うことができる

M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。

3. 失敗のリスクを軽減できる

一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。

そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。

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会社情報

当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。

これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。

具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。

この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。

会社名 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社)
設立 平成28年10月5日
事業内容 企業買収および合併の仲介業務など
住所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階
代表取締役 近 暁