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資金調達ラウンドとは?シードラウンドからシリーズA・B・C・Dについて

スタートアップ企業にとって、資金調達は成長のために必要不可欠です。そこで資金調達ラウンドを意識し、企業の成長段階に合った投資機会の獲得を目指しましょう。当記事ではまず「資金調達ラウンドとは何か」に言及し、資金調達ラウンドの種類やそれぞれの特徴を解説していきますので、ベンチャー企業の立ち上げを考えている方はぜひチェックしてください。

資金調達ラウンドとは

資金調達ラウンドとは、「スタートアップ企業が成長に必要な資金を調達するため、出資者から段階的に資金を募る機会のこと」を指しています。

 

「シードラウンド」「シリーズA」「シリーズB」などと呼ばれる各ラウンドは、企業の成長フェーズと密接に結びついており、それぞれで調達規模や出資者の特徴も異なります。

 

企業が段階的に資金調達を行う理由は主に3つです。
1つは「創業直後のリスクが高い段階で大規模な資金調達を行うことは困難なため“です。2つ目は、「成長段階に応じて必要な資金規模が異なるため」。そして3つ目が、「段階的な調達により既存株主の株式の希薄化を最小限に抑えることができるため」です。

 

たとえば、アイデア段階の企業が数十億円規模の資金調達を行うことは現実的ではありません。

まずは少額の資金で事業の実現可能性を検証し、成果を示しながら徐々に調達規模を拡大していかないと成長していけません。

また、この段階的なアプローチをした方が創業者や初期投資家の持株比率を適切に管理しやすいのです。

資金調達ラウンドの種類と特徴

資金調達ラウンドは、企業の成長段階に応じて異なる特徴を持ちます。

 

初期段階のシードラウンドから、成長期のシリーズABC、そして成熟期のシリーズD以降まで、各ラウンドで独特の目的と特徴がありますし、出資者や投資の規模もラウンドごとに大きく異なってきます。

 

どのように区分されており、それぞれどのような特徴を持つのかを確認しておくと良いです。

シードラウンド

「シードラウンド」は、スタートアップが最初に資金調達を実施するフェーズです。

※このフェーズはさらに①プレシードラウンドと②シードラウンドに分けて考えることもある。①では事業アイデアの検証や最小限の製品開発を目的とし、数百万円~数千万円規模の調達を行う。②では製品開発の本格化やマーケティング施策の実施のため、通常5,000万円から1億円~程度の資金を調達する。

 

主な資金調達先としては、エンジェル投資家(個人で自己資金を投資する富裕層や経験豊富な起業家)、シードアクセラレーター(初期段階のスタートアップに対して資金提供や成長支援プログラムを提供する組織)、シード期に特化したVC(ベンチャーキャピタル。

成長可能性の高い未上場企業に対して投資を行う組織)などが挙げられます。

 

この段階では事業の将来性と創業チームの資質が重要な投資判断基準となり、創業メンバーの実行力や市場の成長性、そして事業アイデアの革新性が特に注目されます。

シリーズA

「シリーズA」は、事業の本格的な成長に向けて大規模な資金調達を始めるフェーズです。

 

この段階では、製品やサービスの市場適合性が注目され、一定の顧客基盤やビジネスモデルが確立されていることが求められます。
調達規模は一般的に数億円~10億円程度。プロダクトマーケットフィット(PMF。顧客を満足させる製品やサービスを提供しており、それが市場に受け入れられている状態のこと)の達成や、事業拡大のための人材採用、マーケティング強化などに資金を使うケースが多いです。

 

なお、このフェーズにおける中心的な出資者はベンチャーキャピタル(VC)です。

シリーズBC

「シリーズB」と「シリーズC」は、企業が大きく成長している時期おける資金調達フェーズです。

 

事業の急速な拡大や新規事業への参入を目指すための、10億円を超える規模の資金調達が始まります。

特にシリーズCは後期成長ラウンドとして、30億円以上の大規模な資金調達を進め、市場シェアの拡大や海外展開なども進めるフェーズとなります。

 

この段階での出資者は、大手VCPEファンド(プライベートエクイティファンド。未公開企業の株式に投資し、企業価値向上後に売却して利益を得るファンド)などです。企業にはこれまで以上に安定した収益基盤と、さらなる成長のための高度な戦略が求められます。

シリーズD以降

「シリーズD」以降は、企業がさらなる成長や事業転換を目指す段階での資金調達フェーズです。

 

主な調達目的は、大規模なM&Aの実施、新規事業への本格参入、あるいはグローバル展開の加速などが挙げられます。

調達規模は数十億円から数百億円に及ぶこともあります。

 

ここまで成長が進むと、IPO(株式公開)やM&Aなどのエグジット戦略も本格化してくるでしょう。出資者には、レイターステージに特化したファンドや機関投資家(生命保険会社や損害保険会社、信託銀行などの大口投資家)が加わり、より洗練された財務戦略と明確なエグジット計画の提示が必要になってきます。

 

なお、シリーズDまで資金調達を重ねる企業は比較的少数で、多くの企業はそれ以前の段階でIPOM&Aを選択します。

各ラウンドに共通するポイント

資金調達の各段階で成功を収めるうえで重要になるのが「タイミング」「準備」「関係性構築」の3つです。

この要素はどのフェーズでも大きな意味を持ちます。

 

  • 資金調達のタイミング
    → 資金ショート寸前での調達は投資家との交渉で不利な立場に立たされる可能性が高い。そこで、まだ十分な資金が残っている段階で次の調達の準備を始めることが望ましい。
  • 事前の準備
    → 出資者との交渉で、「なぜ今資金が必要なのか」「調達した資金で具体的に何を実現するのか」「それによってどのような成果が期待できるのか」を明確に説明できるように備えておく。数字による裏付けも重要。
  • 出資者との良好な関係性構築
    → 資金調達はお金のやり取りだけでなく長期的なパートナーシップの始まりでもある。資金のみならず、経営のアドバイスやビジネスパートナーの紹介など、さまざまな支援が得られる可能性がある。そのため定期的な報告や相談などを通じて信頼関係を築いていくことが大切。

 

これらのポイントは、シードラウンドからシリーズD以降まで、すべての段階で変わることなく重要です。ただし、企業の成長に伴って、それぞれの要素の具体的な内容は変化していきます。各ラウンドで求められる水準を理解し、適切に対応していくことが求められます。

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M&Aとは

「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。

あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。

そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。

M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。

一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。

MERIT&DEMERIT

M&Aのメリット・デメリット

売り手のメリット・デメリット

1. 従業員の確保

現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。

2. 企業体質の強化につながる

M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。

M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。

3. 売り手の経済的メリット

たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。

この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。

もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。

買い手側のメリット・デメリット

1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる

経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。

そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。

また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。

2. 時間を買うことができる

M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。

3. 失敗のリスクを軽減できる

一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。

そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。

OFFICE

会社情報

当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。

これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。

具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。

この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。

会社名 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社)
設立 平成28年10月5日
事業内容 企業買収および合併の仲介業務など
住所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階
代表取締役 近 暁