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事業再構築補助金とは|概要や活用例、注意点について

昨今の社会情勢の変化を受け、経営が苦しくなっている事業者、あるいは新たな市場への参入を検討している事業者などは「事業再構築補助金」の活用を検討してみると良いでしょう。

 

当記事でその概要を解説しています。どのような場面で活用できるのか、注意点は何か、同補助金の全体像をここで掴んで本格的な検討へと進みましょう。

事業再構築補助金の概要

「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルス流行による経済社会の変化に対応するべく、思い切った事業の開拓・再起等に挑戦する事業者を支援するために設けられた補助金です。

 

中小企業庁の中小企業等事業再構築促進事業に基づく補助金で、対象としている事業者は中小企業・中堅企業・個人事業主などです。

 

8つの申請枠が設けられており、それぞれ対象とする事業者や補助上限額、補助率が異なっていますが、どのような形で活用をするにしても満たしておかないといけない必須の要件があります。それが次の2つです。

 

事業再構築補助金の必須要件2つ

①事業計画の作成と確認

・事業再構築指針に沿って事業計画を策定。認定経営革新等支援機関(認定を受けた金融機関や税理士、中小企業診断士等)の確認を受ける。

・同機関には申請に関する相談や、計画作成を一緒に進めることもできる。

・補助額3,000万円超のケースでは金融機関の確認も必要。

②付加価値額の増加

・付加価値額とは「営業利益」「人件費」「減価償却費」を足した額のこと。

・必要な増加割合は次のいずれか。

1:実施事業終了の3年から5年以内に、年率平均で35%以上を増加

2:従業員1人あたりの年率平均35%以上の増加

8つの申請枠がある

同補助金には次の通り8つの申請枠がありますので、大きな課題に直面して売上が下がっている企業、あるいは新たな分野への取り組みを始める企業など、さまざまな企業に利用機会があります。

※金額や要件などの詳細は変動する可能性があることに要注意。

 

事業再構築補助金の8つの申請枠

成長枠

成長の見込みがある分野に対し大胆な取り組みをする事業者向け。

補助上限:7,000万円

補助率 :1/2

10年単位で市場規模が10%拡大する分野であることが必要。

グリーン成長枠

グリーン成長戦略に資する取り組みをする事業者向け。

補助上限:8,000万円~1.5億円

補助率 :1/2

※研究開発や技術開発、あるいは従業員への人材育成も併せて行うことが必要。

卒業促進枠

中小企業等の規模から卒業する事業者向け。

「成長枠」「グリーン成長枠」の申請が前提で、上限額を2倍に引き上げる。

大規模賃金引上促進枠

賃金の引上げや従業員の増員に取り組む事業者向け。

「成長枠」「グリーン成長枠」の申請が前提で、上限額に3,000万円を上乗せる。

産業構造転換枠

市場縮小などの課題に直面している事業者向け。

補助上限:7,000万円

補助率 :2/3

10年単位で市場規模が10%以上縮小する分野であることが要件。その上で、当該分野とは異なる分野にて新規事業を始めること。

サプライチェーン強靱化枠

製造の国内回帰に取り組む事業者向け。

補助上限:5億円

補助率 1/2

※国内での増産要請があることや、10年単位で市場規模が10%上拡大する分野であることなどが求められる。

最低賃金枠

最低賃金の引上げに困っている事業者向け。

補助上限:1,500万円

補助率 :3/4

20221月以降、所定の期間において売上高が10%以上低下していること、最低賃金に50円以上を上乗せて雇用する従業員が10%以上いることが必要。

物価高騰対策・回復再生応援枠

物価高騰などの影響を受けている事業者、事業再生に取り組む事業者向け。

補助上限:3,000万円

補助率 :2/3

20221月以降、所定の期間において売上高が10%以上低下していること、また中小企業活性化協議会等の支援を受けて再生計画等の作成をしていることが必要。

事業再構築補助金の活用例

補助金交付の例を見ておくと、活用のイメージを持つことができます。いくつか確認してみましょう。

 

例1)飲食業における「業種転換」

実店舗で飲食店の経営をしていたが、コロナ流行の影響を受けて売上が大きく下がった。

そこで店舗の運営を止めて、食品製造業に転換することにした。

補助金の申請を行い、オンラインショップの構築にかかる費用、広告宣伝費、食品製造に必要な機械の導入費などの補助を受け、その後はオンラインショップで食品を販売している。

 

例2)宿泊業における「新分野展開」

旅館経営をしていたがコロナの影響を受けて来館者が大きく減ってしまった。

そこでキャンプ需要の増加に目を付け、新たしくキャンプ場の運営を始めることにした。

補助金の申請を行い、キャンプ場施設の整備等に必要な費用の補助を受けた。

 

例3)サービス業における「業態転換」

美容室の運営をしていたが、コロナの流行があってから客足が遠のいてしまった。

そこで店舗での活動を縮小させて、直接自宅に訪問して美容サービスを提供することにした。

補助金を活用して、外出が難しい・外出を控えたいと考える方向けに訪問美容サービスを開始。

 

例4)製造業における「新市場進出」

ガソリン車向け部品の製造を行っているが、脱炭素の流れを受け、EV市場への参入を検討し始めた。

補助金を活用して装置撤去や新たな設備の導入ができたため、電気自動車向けの部品に関する研究開発を実施、製造を開始した。

補助金申請にあたっての注意点

同補助金を活用するときに注意したいこともいくつかあります。

 

  • 1つの企業が同じ事業で複数回補助金を受けることはできない
    (ただし内容が違う事業なら同じ企業が補助金を受けることもできる)
  • 不正行為が発覚すると補助金は返還しないといけない
    (さらに行為によっては罰則が適用される危険性もあることに留意)
  • 他社を模倣し、酷似した事業で申請すると今後の申請ができなくなる
    (ただし故意や重過失による申請でなければ問題ない)
  • 原則、補助事業に着手するのは交付の決定後
    (特定の申請枠では届出をして事前着手することもできるが、不採択になるリスクは考慮しないといけない)
  • 最新情報をチェックしてから準備にとりかかること
    (要件等が変更されることもあるため要注意。また、通年申請を受け付けているわけではないため、公募の開始を待つ必要がある)

 

大きな取り組みを始めることになりますし、補助金が受けられるかどうかが企業の存続に関わることもあるでしょう。

できるだけ、認定経営革新等支援機関、その他助成金・補助金に関する相談を受け付けている専門家などに相談することをおすすめします。

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M&Aとは

「M&A」と言われても、まだまだ一般的にはよく知られていないのではないでしょうか?テレビや新聞の経済ニュースでは頻繁に目にするようにはなりましたが、まだまだ何のことやらわからない方が多いかと思います。

あるいは言葉の意味は人から聞いたり、本やネット等でなんとなく知っているが、具体的にどういうことなのか知らない人が多数かと思います。それも当然のことです。なぜなら、金融機関やM&Aを手掛けるコンサルティング会社以外の事業会社にとっては、M&Aというのは企業にとっての一大イベントでありますし、むしろほとんどの企業は全く縁のないことも多いからです。したがって、M&Aが一般的に知られるはずもないのです。

そこで、M&Aとは何なのか、またM&Aにはどのような手法があり、具体的にどのようなことなのかを、わかりやすくご説明したいと思います。

M&Aの正式な名称は「Mergers and Acquisitions」であり、M&Aとはこれを略した言葉です。Mergersというのは「合併」、Acquisitionsというのが「買収」のことであり、直訳すると「企業の合併と買収」となります。

一般的に「M&A」と言うと、二つ以上の会社を一つの会社としてくっつける、専門的に言うと複数の法人格を一つの法人格に結合する合併およびある会社の全株式を買い取ってしまう買収といった狭義のM&Aだけでなく、ある企業の特定の事業だけを譲渡する営業譲渡や、資本提携(100%ではない株式の取得・増資の引受)なども含めた、広義の資本的取引のことを包括しています。

MERIT&DEMERIT

M&Aのメリット・デメリット

売り手のメリット・デメリット

1. 従業員の確保

現在、日本の中小企業においては後継者不在により、いつまで事業が続けられるか悩んでいる中小企業経営者が多いです。後継者不在が続いた場合、廃業に追い込まれる企業も少なくないでしょう。そうなってしまうと、従業員やその家族、取引先に大きな影響を及ぼしてしまいます。こうした中小企業がM&Aを行うことで、会社を存続させることができ、ひいては従業員の雇用を守ることができます。
また、M&Aの相手先によっては、その会社のネットワークやノウハウを利用することで、再スタートを切ることができるので、後継者不在に悩んでいる中小企業にとっては、きわめて有効かつ迅速な解決を図るための選択肢となります。

2. 企業体質の強化につながる

M&Aを実行しようという買い手会社は、売り手会社に比べると、資金力、人材などの事業基盤の面で安定した企業となります。

M&Aで事業基盤のしっかりした企業との確固とした関係を築くことができれば、今まで不足していた信用力が補完され、資金調達が楽になることもありますし、また相手先のネットワークを利用することで販路を拡大することができるなど、いわゆる事業シナジーの活用ができ、収益力の強化につながることが期待できます。

3. 売り手の経済的メリット

たとえば後継者が不在のため、自社を廃業・清算する場合、現金や有価証券といった金融資産以外の資産である在庫や機械設備などは換金することが困難なばかりか、往々にして処分費用が嵩み、会社をたたむのに残金が残るどころか、追加での費用の支払いが出てしまう可能性も高いものです。
しかしながら、M&Aを実行する企業にとっては、そういった在庫や機械設備は今後の事業遂行にとって価値となる資産となるばかりか、場合によっては収益力を評価していわゆるのれん価値をつけて株式を買い取ってくれることがあります。

この場合、廃業・清算にかかる手間が、M&Aで軽減されるばかりか、場合によっては手元に残る現金が多くなることもあり、引退後の生活のために大きなメリットとなることでしょう。

もし詳細がお聞きになりたい方は、当社まで、ぜひお問い合わせください。

買い手側のメリット・デメリット

1. 既存事業の拡大や事業の多角化ができる

経済が成熟してくると、既存事業における市場規模の拡大というのは自然には見込めなくなるものです。したがって、自社の事業領域においては、他社の市場シェアを奪うほか売上の拡大が見込めなくなってきますが、これは簡単な話ではありません。

そこで自社の経営戦略やニーズにマッチした企業とのM&Aを実行することによって、自社の事業規模を拡大し、市場シェアを一気に拡大することが可能となります。

また、自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することができるというメリットがあります。

2. 時間を買うことができる

M&Aを実行することは、自社で一から経営資源である「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新しい事業を立ち上げる時間を省くことができ、お金で「時間を買う」ことができるわけです。

3. 失敗のリスクを軽減できる

一般的に自社の既存事業の売上が伸び悩んでいる場合は、他の領域への進出、すなわち事業の多角化、新地域への進出という事業戦略を取ることが多いかと思います。しかしながら、ノウハウがない事業に新規に進出する場合は、よほどの事業シナジーがない限り、失敗のリスクが高くなります。

そこで、すでにある他業界の会社をM&Aすることで、対象企業の事業ノウハウばかりかすでに獲得しているマーケット・シェアを獲得することが できるというメリットがあります。

OFFICE

会社情報

当社は、会計士および税理士のネットワークをベースに設立された会社です。

これまで、多数のM&Aの経験に裏付けられた専門的ノウハウおよびネットワークを元に顧客企業にとって最適なM&Aを実現することが使命であります。

具体的なサービスとして、最も重要なものは、事業承継及び企業規模の拡大を目指している経営者様にとって、最も効果的なM&Aの相手先を見つけ、ご紹介する仲介業務であります。M&A仲介の難しい点は、なんといっても「相手先企業情報の入手及び両者のマッチング」です。

この仲介業務、すなわち出会いがすべてといっても過言ではありません。他社では、どうしても成約ばかりに目を向けて、成約するならどこでもいい、といったことがありますが、当社はこの仲介業務にもっとも力を入れ、またこの仲介において皆様の事業の発展に尽くしていきたいと考えております。

会社名 株式会社日本企業評価会計事務所(旧M&Aプロ株式会社)
設立 平成28年10月5日
事業内容 企業買収および合併の仲介業務など
住所 〒102-0093 東京都千代田区平河町2-8-10 宮川ビル4階
代表取締役 近 暁